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東ッタゆらぎ

先日あったことを記します

『AVから学ぶ』第2話 再生

 走って家に帰った。

 俺は運命的な出会いもとい奇跡的な出会いをしたのだ。

 人は人一人語るのにその人の生きた時間の分だけ要するというのだけれど、俺の場合はもう時間という程の時間は要さず、たった一言で語ることができるのだ。

  ーー今まで完璧だった――と。

 しかしそんなことはなかった。

 俺の人生のシナリオは新たに書き足された。

 そうだ、アダルトビデオだ!

 俺は今とてもいい気分だ。

 

 部屋の電気をつける。

 レンタルビデオ屋での記憶はあまり残っていない。

 あの時は衝動にかられ無我夢中でアダルトビデオを10作レンタルしていたことぐらいしか鮮明に覚えていない。

 テレビの電源をつけ、ブルーレイににディスクを挿入する―――その時間わずか3秒。

 光のようにセッティングを行い、

 一作目の『雨のなかで輪姦』を再生した。

―――――――――――――――――――――――――

 泣いた。

 アダルトビデオで泣いてしまうのは世間一般ではおかしいことかもしれないけれど、こんなにも自分の心を動かす存在があるのだと実感し、言葉では言い表すことが難しく、涙あふれるそんな気持ちになった。

 

 しかしそんな感動の気持ちと同時に直哉は不思議な気持ちを抱いた。

 

 この気持ちは何なのだろう―――感動するというのとは程遠く、こう気分が高揚してくるような、そんな熱い感情。

   もっとわかりやすく言うと下半身が熱くなるような激しい気持ち。

  

 直哉はその気持ちの正体を知るべく、残りの9作を片っ端から観ていった。

 

 全て観終えるころには午前6時を回っていた。

 結局、俺が抱いた不思議な気持ちの正体はわからなかったけれど、ひとつ確信して言えることがある。

 テレビの前に置かれている10作のAVのパッケージに視線を移し、直哉はこう呟いた。

 「このビデオには思いが詰まっている」と。

 

 窓の外から朝日がさし、俺の顔を照らし出す。

 いつものように学校へ行く準備を始める。

 今日も一日、頑張るぞい!

 そうして直哉はアパートの扉を力よく開いた。

 

 直哉が抱いたあの不思議な気持ちの正体は見事に単純で生物の生理的欲求であるものだった。

 ーーー性欲だ。

 直哉は性欲を持ったのだ。

 しかし当人である直哉はその欲求に気付くことなく登校していた。

 

 

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終わりです。

あくまでもこの作品はネタです。