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東ッタゆらぎ

先日あったことを記します

『AVから学ぶ』第3話 変化

 いままで何にも感じさせないモノクロだったような世界が昨日の出来事で大きくひっくり返った。
 ―――色づいている。

 うるさくて、うざいと思っていた女子高生たちが美しくそして可愛らしく思えてくる。 
 どうしてだろう。なんでだろう。

 込み上げそうな涙をぐっとこらえて俺は登校を続ける。
 いつもの通学ルートである電車に乗り込んだときだった。
 同じ高校の制服。
 女子生徒。
 同じ学年であろうか。
 さらさらした黒い長髪。
 その長髪を前髪にかからないように片一方を髪留めをしていた。
 身長は俺よりもアダルトビデオ1パッケージ分(縦)くらいの低さで容貌はたいへん美しかった。
 それはこれが絶世の美女かと思わせるような容貌で実に形容しがたい容貌だった。俺は美しいとしか形容できなかった。
 語彙力も表現力も人並みにあると思うけれど、彼女の場合は違ったのだ。
 そんな彼女の魅力を目で感じていたのに、しらずしらず違う感情が芽生えてきた。
―――彼女に触れてみたい。

 無意識だった。
 気づけば俺の右手はその女の子の腕をつかんでいた。
 突然のこと過ぎて口から言葉が出てこない。
 痴漢だと思われ、大声を叫ばれるかもしれないと脳裏によぎったが、どうやらそれは免れたようで彼女も俺と同様にビックリした形相で口を開いてパクパクとしている。
 その姿には我ここに心あらずのようで、その子の顔には赤みが差している。
 両者なにも言わないでただお互いの顔を窺っている。
 時間が硬直しているようだ。
 ―――とりあえず、なにか言わないと。
「ご、ごめん、親戚の子に似ててつい」
 しまった! 方便を繰り出してしまった。コミュニケーション能力は一般よりもはるか上にいく俺がこうゆう展開の場合弱いとは。

    直哉は自分の知らない一面を知った。
 すると女の子は間違いだったのかと安堵してほっと溜息をして応えた。
「いえいえ、こちらこそ」
 その顔にはまだ赤みが残っていて耳まで及ぼしていた。
 そういって俺と彼女を運ぶ電車は学校への最寄り駅へと到着した。

 さっきのいざこざから俺と彼女は数駅、恥じらいを補うべく車窓に写る山々の木々を眺めていた。
 こんなにも胸が高鳴りが続く俺は幸せなんじゃないだろうか。


 ま、まてよ。
 なんでこんな思いになるんだ?

    どうしてこんなにも高揚感がーーー

―――――――――――それはきっとーーー

 AVが俺を変えてくれたからだ。
 昨日の出来事がなければ俺は今頃死んでいて、こんなにも美しく可愛い女の子がいることに気づけなかっただろう。
 今まで学校に通っていて気づかないのならそれは真実だと言える。
  AVに出会ってから……川内直哉は成長している。
  俺は白い吐息を立てて天を仰いだ。
  そして目の前に写る彼女の後ろ姿に視線を向ける。
  今日から学ぼう。
  俺に欠落していた感情を。

  そういえばさっきの女の子の名前は聞いてなかったっけ。
  勇気を出して言わないと。
  俺はそっと前を歩く少女の肩をたたき声をかけた。
  「あ、あの―――」

 

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終わりです

興奮しましたか?