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東ッタゆらぎ

先日あったことを記します

『ラブドール』第1話 曇る毎日

 

 彼女、美鈴と結婚して一年が経った。

 今日もなにも変わらず、いつものように毎日が始まった。

   怠い体を起こし、ベットから立ち上がった私はカーテンを開け朝日を浴びた。

 リビングに向かうといつも美しく麗しい彼女、美鈴がいた。

 パジャマ姿の状態を美鈴に注意されたような気がしたので、すぐさま部屋に戻りパジャマを脱いでスーツに着替えて、ネクタイを締めた。

   

 彼女はあまり口数多いほうではないので私が再びリビングにきて

「おはよう」

と微笑むと同じく微笑んでお辞儀した。

 

私は昨日作り置きしていたカレーを鍋からお玉ですくい、お皿にもりつけパンと一緒にいただいた。

 彼女は同じ卓に座りながら私の食べる姿をただじっと見ている。

    ……何か言いたげだな。

 それでも彼女はなにも喋りかけてくることはなく拘泥のない微笑みを続けてくる。

 

 世間体から考えると喋らない妻などなかなかどうして怖いものに感じるかもしれなが、どうやら私にとっては毎日のことなので特に気にすることもましてや怯えることなどない。

むしろ彼女がしゃべらないほうが気品が際立って美しく感じるまである。

 

 そんなこんなで毎日してしまう思考をストップして、一気に朝ご飯をかたずける。

 途中、美鈴が

「のどに詰まっちゃ危ないよ」

と注意してくれたような気がした。

 

 朝ご飯を終え、出勤の準備が整った。

 そして美鈴に

「いってきます」

とキスをして家の扉を開いた。

 

 扉を閉めようとしたとき美鈴が私に微笑んでくれた。

 

   

   こんな生活もうウンザリだ。つかれた。

 

 そうーーー美鈴は微笑むことはあっても笑わない。

 ましてや喋ることなんて絶対にない。

 

 

 

 今ではこの生活、毎日に苦痛を感じている。

 

   覇気がない毎日。

 

 美鈴にそのことを悟られてしまっているのではないのかと時々に不安になることがある。もしかしたらもう悟られているのかもしれない。

 

 けれど美鈴は不満1つ言わず、ずっとこの家にいてくれている。

 

   だけど、それでも、だとしても

   苦痛である。

 

多分、きっと、間違えなく、

  私にはもう美鈴は必要ない。

   

 

   美鈴は毎日、微笑んでくれる。

 

 

     嬉しい……けれど飽きた。

 

 

       そうだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     新しいラブドールを買おう!

 

 

 

ーーー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

今回は第1話 『曇る毎日』

 

次回は

第2話 「人形解体作業」