読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

東ッタゆらぎ

先日あったことを記します

『AVから学ぶ』第8話 対峙

  —―—正念場。

 いや、高校生というジョブの観点からいうとこれは青春。

 紛れもない青春である。

 

 

 「おい、お前、さっきまで俺の黄泉子と何やってた」

 昼食。

 

 男は俺の教室の前に立って、鋭い眼光で俺を睨みつけ、憤怒を混じらせた語気で俺にそういった。

 怒っていた理由も俺と黄泉子が昼食を行ったことについてだろう。

 

 正直、昼食を食べている間、男は何もせずにただ指を咥えて、見ていたのだから、勇気のない奴と思っていた。

 

 けれど、男はこうして俺の目の前にきて対峙している。

 

 すると男は続けて

「お前、川内直哉って奴だろう。結構、有名だから俺も知ってるぜ。しかし学園の優等生である川内が女にご執心とはなかなかどうして珍しいことだぜ。いくら優等生といっても俺の彼女である黄泉子に手を出したら、周りは黙っていても俺は黙らねぇ! お前、黄泉子と何やってた」

 

どうやら彼は俺のことを知っていたようで、詳しいようだった。

 

「俺を知っているのか。それはどうも。それと俺と黄泉子ちゃんが何やってたって君は知っているだろ。ずっと見ていたのだから」

 

「そうだな、それはそうとお前を殴らなければ俺は気が済まねえ」

  本当に俺は幸せ。

 友達ではないけど、同年代の男から「殴る」だなんて青春じみたことを言われる日が俺に来るとはなんという幸福。

 あの晩にAVを観ていなかったらきっとこんな未来はなかったのだろう。

 

 俺は一気に気分が高まってしまった。

「いいだろう、けど俺が勝ったら黄泉子ちゃんはもらう」

 

「へっ、いいぜ。負けた人間なんか黄泉子の隣には不必要だからな」

 

こうも、語調が荒くなった二人の会話はどうやら廊下に響いていて周りの人間がどんどん集まってきた。

 昼休みももう終わりに近づいているというのに教室や廊下いた人が次々と集まってきては小声でぶつぶつとしゃべっている。

 「え?あの二人喧嘩するっぽい」「え?なにあれ?」「絶対、2人とも童貞だよ」「いやー男の皮を被った処女だよ」「あいつ川内だよなあ?」「あいつ三年の那珂じゃね」「那珂って?」「お前、知らねえの那珂 尚だよ。三年生で学校の中で群を抜いて有名でスポーツ万能、成績優秀、眉目秀麗の三拍子そろった完璧超人。更には美人な彼女がいるそうだぞ」

    なんか童貞とか酷い言われようだけど、なるほど。

    彼は那珂 尚という名前なのか。

 それに学校の人気者ときたか。

 美人な彼女は黄泉子ちゃんのことか。

 

 

「ふん、何やら外野が騒がしいけど関係ねえ、俺はお前を倒して黄泉子のもとに帰るだけだ」

「言ってくれるな。まあ、指咥えて俺たちを観察して今まで何もしてこなかった意気地なしに負けるわけないけどな」

「何言ってんだ。黄泉子がいる前で喧嘩なんかできるわけないだろ。考えろよお前。その程度の配慮も知らねえ奴が黄泉子であっても他の女であっても上手くいくわけないぜ」

 

 これぞ青春。

 お互いに罵声飛ばす。

 本当に燃えてきた。

 

俺は那珂の言った言葉に元気よく溌溂に

「上等!」

とanswerした。

 

 

そう、ここからが川内直哉と那珂尚による黄泉子を取り合う青春が始まる!!!

 

―――――――――――――――

 

1000字を超えたのでここまで、かなり手を抜いた。

追記

新しい登場人物名

那珂尚(なか なお)

 

次回

第九話 勝負